リーマンショックから10年
今年はリーマンショックから10年の節目の年です。10年一昔といいますが、まぁなぜこんなにも人は10進数で考えるのかという問題もありますが、それはおいておきましょう。
先日、ロイターを見ていますと、いろいろな専門家の方が色んな角度から、その時起こったことや、その後起こったことを話してくれているよい資料がありました。これはマストウォッチです。
ちなみに、2008年のあの事件のことをリーマン・ショックというのは多分日本だけで、英語で書かれているレポートなんかを読んでいるとGlobal Financial Crisis(GFC)と呼ばれていますので、気をつけたいところです。
これを見て、GFC後の世界では欧州が一人負けってことがいわれていましたが、日本には何も触れてもらえていないところは辛いところです。そして、ショックの発生した場であるとみられるアメリカはその後の世界で一人勝ちということで、なかなか味わい深い結果になっています。
米国の社債市場を見てみる
さて、本日見てみますのは、米国の社債市場の動きです。
FREDには債券のトータルリターンのデータも有りまして、米国の社債のAAAとBBBを見てみました。
トータルリターンの動きは以下のようになっています。
GFC前はAAAとBBBのリターンは似たようなものでしたが、GFC後は緩和の影響からBBBの債券のリターンがものすごいことになっています。AAAは金利が下がらない所まで来ているのかなー。
で、昨日同様、両方のボラティリティもみてみました。ローリングの期間は180日です。すると・・・
こちらもGFC前はBBBのほうが若干高く、リスクが反映されていた感じがありますが、2012年以降ではBBBのほうがボラティリティが低くなっています。
ふーんなんだろうと思い、格付けの低い債券はそれほど取引がないので、日足だと動きがちょっと小さく出るのかなぁなんて妄想しました。あと、教科書な世界でも月足が使われていますので、月足のボラティリティのチャートを作ってみました。ローリングの期間は、先の180日と同じくらいの6ヶ月にしました(1ヶ月20日とすると9ヶ月だけど、まぁこの辺は良いですかなー・・・)。
そうすると、BBBのボラティリティが極端に低く出ることはなくなったものの、しかし、AAAとそれほど変わらないというくらいになりました。あと、足元はBBBが低い場面もやはりあります。
教科書的にもう少し期間を伸ばし、ローリング期間を24ヶ月にすると・・・
GFC前のところのボラティリティがBBBのほうが高いのがくっきりしましたが、ここのところの動きはBBBのほうが低いというのが目立つようになってしまいました。
終わりに
このようにリスクの高いはずのほうがボラティリティが低い世界というのは、ニューノーマルかただの一時的な現象かというのは、みんななんとも言えない世界でしょう。
しかし、依然として中央銀行が負債の多くを抱えて、それを出せないというのは、それなりに考慮に入れておかないといけないことかもしれません。
今後の世界の予想としては、ひとまず、中央銀行が債務を購入する展開が継続する可能性が高く、超緩和の世界が継続される可能性が高いと思われますが、その運営がおかしいと思われたとき、通貨に対する信任が失われる可能性も低いながらあるかもなと思っています。