隗より始めよ

今後はいろいろ考え始めます。

Trustlessという言葉に対する違和感を取り除いてくれる一冊

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ちょっと前に紹介した本を読み終えたのでとりあげます。

www.mazarimono.net

タイトルはTRUSTという本で、その名の通り信頼に関して書かれた本です。

TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

信頼の形が変わった

Blockchainの勉強会を開いていながら、私はTrustlessという言葉に違和感を感じていました。Bitcoinを信頼しなければ、ブロックチェーンって成り立たないし、誰かを信頼しないとトランザクションも 本当に行われたものかどうかわからないし、NTTのネットワークがなかったらそもそもその情報が見られないし、Trustlessというのは一体何を指示しているのだろう?なんてことを考えていました。

そこに答えを与えてくれたのがこの本でした。この本による解答は信頼の形が変わっているということでした。

Satoshi paperに戻る

Blockchain kyotoで一回話題になったことがありましたが、Satoshi PaperではTrustlessなんて言葉は使われていません。使われているのは「信頼できる第三者機関の仲介が必要ない」ということです。それがTrustlessに当たるかというとそうではないと思います。

今回取り上げる本「TRUST」に話を戻すと、権威や大手企業による信頼の代替がここ最近の信頼だったとされ、これがテクノロジーの変化により分散型に変わって来ているという主張が行われます。

下の図はTEDの講演から取ったものですが、もともと信頼はローカルなものでした。人々は生まれた土地から出ずに地元で一生を終えるものでした。なので、信頼は地元だけで行われればよく、それほど難しいものではありませんでした。

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しかし、都市の発展が進むにつれ、人びとは都市に出るようになります。そこで知らない人をいきなり信頼するというのは難しい。というわけで、権威や法律、大きな会社などがその信頼を仲介するようになります。

移民の国米国を考えると、この辺りは移民のあまりいない日本と比較すると、もっと難しいものだったでしょう。何しろどこの国から来たかも定かでない人たちがいる訳ですから。そう考えると米国で裁判が多かったりするのはよくわかるような気がします。

しかし昨今、信頼の役割を担っていた権威的な立場や人の、信頼が失墜することが多く起こっています。

パナマペーパー、フォルクスワーゲンの燃費不正、カトリックの子供の性的虐待などが本では挙げられていました。日本でも多くの企業が不正を行っていることが明らかになっていますし、政治家の不祥事も後を絶ちません。

何よりも大きかったのは、リーマンショックにおける金融機関への信頼の失墜です。何度もこのブログで入っていますが、リーマンショックと呼ぶのは日本だけで、世界的にはGreat Financial Crisisと呼ばれ、金融恐慌だったととらえられています。ビットコインが作られたのもこの翌年で、ジェネシスブロックにはシティの銀行救済に関する記事が刻まれているというのは、有名な話です。

この辺りから徐々に権威に対する人々の信頼がなくなり、信頼が分散され始めたようです。

分散化された信頼の事例

エアビーアンドビーは空き時間ビジネスのように言われますが、信頼の形が変化して生まれたものだといえるでしょう。

よく考えれば、一歩間違えば銃で撃たれる国で知らない人に家を借りるまたは貸すビジネスが成り立っているのは、ちょっとびっくりなことです。これもホストとゲストの信頼に成り立つものであり、これは個人が作り上げた分散化された信頼が成立させているものだといえるでしょう。

そのためにエアビーアンドビーはそのサイトのデザインを、それが行われやすいように作り上げています。

つまり

ウェブなどを見ていても分散なんて言葉がキーワードになっている。それってのは何だろうかということも考えていましたが、たぶん、世の中の権威からその他への信頼の移動がそのようなことへの注目を促しているのかと思う。

そしてブロックチェーンも、その流れのもので、Trustlessと言われているものは、信頼の形の変化を言い表しているのではないか。そんなことをこの本を読んで思わされました。

実際にサトシ論文のそれっぽいくだりを読んでも、そんな感じにも受け取れます。実際、ビットコインが広がっているのも信頼によるものであると言えます。

これでブロックチェーンにおける一つの疑問は解消されました。もう一つはどうして暗号通貨と呼ばれるかってのがありますw暗号が使われてるのは一か所だけって(ビットコインは)指摘が勉強会であり、なるほどなぁと思って以降の疑問です。ハッシュ通貨なんて名称はカッコ悪いしかなぁなんて思いますが、さてはてどうしてなのでしょうか?

この本では最近の信頼の変化に関して色々ととり上げられていますので、新たな事業を考えている人にとっても役立つことが盛りだくさんです。なお、断りはいらないと思いますが、今回の記事は私の理解であり、筆者の意図に沿っているかは分かりません。

TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか