さて、COVID-19の新規感染者数の増加数は落ち着いてきました。世界の新規感染者数は高水準ながら増加しなくなっています。各国の新規感染者数を見ると、米国はロックダウンが効いてきたのか、新規感染者数が減少傾向にあることが分かります。
しかしそうなると、どこかの国で増えているということになります。データを見ていると、ブラジル、ロシアの新規感染者数が足元伸びています。また、落ち着いたかと思われたスペイン、UKも再び戻る動きとなっています。
日本をみると4月10日当たりをピークに、新規感染者数はその半分程度の値となっています。この辺りの議論に関してはあとから触れます。
これらのグラフは以下のアプリケーションで見ることができます。
定期観察
いつも通り金融市場の状態とハイイールドの金利のスプレッドを観察します。
金融市場ストレスインデックスは1.2984と直近の高値5からは低下しました。でもこれまでのちょっとした混乱状態くらいの値です。
ハイイールドのスプレッドは若干拡大という感じです。FEDのハイイールド債の購入のインパクトが若干薄れ、実態に目が向いてきた感じでしょうか?
そのほか、先週は原油の先物取引の価格がマイナスになるという、そんなことあるのか・・・というとんでもないイベントが起こりました。私も夜中まで起きてみてしまいました。このイベントは商品取引の現物決済という独特のルールのもと起こったもので、実際の価格をそれほど表していないものであります。しかし一方で、在庫でタンクが確保できないという需給が完全にくるってしまっている現状を映すものであり、現実の世界がおかしくなっているからこそ起こったイベントだとも言えます。
ベイカーヒューズのリグカウントを見ると、米国のリグ数は1週間で64減少し、465となったようです。表には前年からの減少数があるのですが、なんと526となっています。半減以上ですね・・・。一説によると、米国のリグは簡単にふたができまたすぐふたが開けられるとかも読みましたが。
このデータの可視化アプリも作りたいところですが、最安値のヘロクではそろそろきつくなってきていて…
そのほかのニュース
うーむ。最近ニュースが多すぎて週1でカバーするのは大変な気がしてきました。日々少しずつ更新した方がよさそうだな。忘れないし。なんて運用に頭を悩ますほど盛りだくさんです。
日銀金融システムレポート
半年に一度発表されるレポートが出ていました。これまでも不動産融資の過熱は言われていましたが、足元のGDPの低下により与信も過熱、投資もやばいみたいな内容になっていました。しかし、ここから色々なところに貸し出しをしないといけないわけですが、そんなことして自己資本比率大丈夫か・・・ってなるのは私だけではないはずです。あ、あとM&Aに対する資金提供も多すぎ孫悟空みたいな感じでした。まとめるとレバレッジかけすぎッて感じです。
こうなると、資金を融資するのはなかなか難しいのではと思ってしまうのですが、日銀様はいったいどうなさるつもりでしょう?政策決定会合は27日です。
ファーストリテイリング 今後の展望
ファーストリテイリングの柳井さんが重要だと考えておられることのプレゼンテーションです。
素晴らしい資料だと思います。必読。
https://www.fastretailing.com/jp/ir/library/pdf/20200409_yanai.pdf
米国の中小企業支援増額
前回のまとめブログで米国の中小企業支援が2週間で底を尽きたということを書きましたが、迅速に第2弾が可決されました。次は52兆円と、もはやGFCの金融機関の支援額を超えたという感じですが、米国のロックダウンは5月末くらいまでは続くとの見通しで、もっと必要になる可能性が高いですね。大手企業がこれに応募して返金したみたいなニュースがいろいろありましたが、その辺りで金額に余裕ができたのでしょうか?それとも焼け石に水?
日本は少しずつ聞こえてきますが、全体額が言われていないあたりどうなっているんかなぁ・・・
思うに、企業としては今のところ支援金をもらうのが最適解なわけですが、それを防ぐために、頑張って支援金をもらわなかった企業は表彰するとか、公表する的な仕組みを取り入れるのはどうかな?と思います。神社などの石碑的な。今だと国のブロックチェーンに刻み込むとか。
トヨタ国内生産、計画比半減
下に引用したように3月末の計画から5月半減、6月4割減ということです。自動車はすそ野が広いので、いろいろなところに影響が出るのは避けられないでしょう。
トヨタ自動車が5月の国内自動車生産について、3月末に策定した計画からほぼ半減させることが22日分かった。6月は4割減らす計画だ。同社はグループ会社を含む国内の完成車全18工場で生産調整する計画を打ち出していたが、具体的な減産幅を詰めていた。減産が長引けば、トヨタがものづくりや雇用の目安と掲げる年300万台の国内生産規模の維持が一時的に厳しくなる可能性もあり、部品メーカーの経営にも影響が広がりそうだ。
コロナ禍、迫る減損の波 身構える車・リース株
先週のまとめで、自動車会社の収益は金融に支えられている面があると書きましたが、週末の日経でもその面が取り上げられていました。
NTTの債権の証券化みたいな話もありましたが、結構な企業が金利の鞘を取るお仕事で稼いでいる面があるので、こういう話は色々なところで増えそうですね。
適時開示
適時開示では様々な業態の開示がありました。そこで気になったものをピックアップしてみます。
まずはスターフライヤー。3月は国内線旅客数前年比48.4%、国際線3.1%でした。国際線の数値が衝撃的すぎる・・・
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200424498769.pdf
Japanホテルリート。3月のRevPARは-70.8%、4月はー90%程度となる可能性があるとのことでした。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200423498098.pdf
大江戸温泉ホテルリート。3月RevPAR-49.7%。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200424498736.pdf
超優良資産も、ウィルスの前ではどうなるか分かったものではありません。
木内さんレポート
定番の木内さんレポート。毎日読んでいますが、相変わらず忖度なし。
政府は景気判断を『悪化』に引き下げ。日銀は?
既に新型コロナウイルスの内外経済への影響が確認されていた今年2月の月例経済報告では、景気の基調判断は「緩やかに回復している」に据え置かれた。このタイミングで景気判断を引き下げれば、昨年10月の消費税率引き上げが経済を悪化させたとして、政府が批判を受ける可能性があっただろう。
新型コロナウイルスの影響がもう少し明らかになった時点で景気判断を引き下げれば、景気情勢の悪化は政府の失策によるものではなく、新型コロナウイルスによって引き起こされたとする説明がより容易となり、政府の責任は回避できる。
で日銀はこれまで緩やかに景気判断下げてきたけど、どうするのかなぁということも書かれています。
日本銀行が、伝統的な独自のアプローチにこだわって、政府とやや食い違う景気判断(特に先行き)を示すのか、それとも政府への配慮から、景気判断においても政府に寄せてくるのか。4月の決定会合での一つの注目点である
従来から日本銀行の国債買入れに制限はない
無制限になる+CP地方債を買うという観測記事をぶちかまされ、ナイトセッションで株価がちょっと上がりましたが、まぁ今までも制限ないしねぇ+日本はまだ間接金融だし銀行が頑張らんと見たいな感じでした。
まとめ
というような感じでした。日本に関しては、まぁ銀行が頑張るしかないわけですが、その銀行が頑張れるかというと、今のままではいろいろと厳しそうです。自己資本比率とか考えると、また資金注入してとか色々あるんでしょうけど、今回は金融業以外を助けるという名目があるのでやりやすそうではあります。
日本の新規感染者数の低下は喜ばしいことですが、じゃあどうやって通常に戻すのかという点は非常に難しいところです。日本の場合、検査できるキャパが限られており、だれがかかっているかわからない状態が継続しています。COVIDさんは症状が出ずとも感染することが分かっているので、検査して普通に動くということをしないと、一気にパンデミック状態になってしまいます。
じゃ抗体できた人だけ働かせようとかなるかもしれませんが、その抗体検査の信用度の問題もあります。また、実際2回かかるとかあるわけですね。今のところよくわからない。
というわけで、無理やり動かそうとすると、感染者が増えることは間違いありません。話していると風邪みたいなものだろうとか言って、ニヤニヤしていう人がいたりするのですが、最近は「肺炎」ですというようにしています。肺炎は大体入院して治してますよねあれですよと。そういうと若い人が死ぬことなんてないという定番の話になりますが、病院に行ける限りはそうですが、病院に入れないとその限りではありません、また日本の平均年齢は40代中盤だけど、CDCの米国のデータを見ているとその辺りから死んでしまう確率は高くなるということが分かっていることを示します。
結局我々が家にこもるのは、下の安倍さんのコメントにもあるように医療現場の負担を減らすためです。
そうして、リスクを取って働いてくださっている小売店の方、インフラを支える方、配送業の方、公務員、医療関係の方が必ず医療を受けられるようにしておくことが重要です。
そうして社会を支えることができるのです。良いことです。
つまり、社会活動を再開するには医療施設の充実化、および検査体制の拡充が必須でしょう。ワクチンや薬は、すぐできそうな記事が多いですが、早くても夏の終わりぐらい、冷静な記事は1年後できてたら良いだろうくらいです。あまり長く、経済を停めておくと優良企業すら持つかどうかわからないので、医療施設、検査体制を充実させてほしいところですが、議論がお金を配ることばかりになっているのが怖いところです。
そうなると神風日本は、そろそろ経済死ぬしまぁ開けてみるかみたいになりそうなのが怖いですね・・・。このままではインバウンドも回復しないでしょうし、なんともなりそうにないですね・・

- 作者:木内 登英
- 発売日: 2019/03/07
- メディア: 単行本